2005年08月09日

かぼちゃの花


20050809fe68f97c.jpg※5 出会い
 私たち家族は満州からの引揚者である。
 父(本田茂)は農家の男2人、女8人の下から2番目の二男。当時の農家は、長男以外は尋常小学校を卒業すると、まれに高等科、中学と進学する人もいるが、たいていは家を出て、自立を余儀なくされた。
 祖母は、成績優秀な父を中学へ進学させてやれないことを、かわいそうに思ったのだろう、父が高等科を卒業すると、逓信講習所という専門学校を受験させる。
 父はその逓信講習所を経て、3年ほど、郡部の小さな郵便局に勤めるが、、将来にどうしても夢が持てなかった。悩んだ父は(大陸で自分の活路を見出そう)と思い立つ。
 郵便局勤めで知り合った先輩が、既に満州で生活しているのを頼り、故郷には二度と帰らぬ覚悟で、たった1人、海を渡ったのである。
 満州の奉天という所に落ち着いた父は、満電(満州電信電話)の入社試験を受け、見事に合格する。
 満電には、同僚に、早稲田大学卒業の、後の俳優、森繁久弥も在籍していた。それは、今、父の自慢だ。後に購入した、当時の部厚い社員名簿を大事にしているが、確かにそれには、宣伝部森繁久弥、と名前が載っている。

 父にとっては人生の中で、満電勤務時代が1番楽しい時期だった。会社のサークル活動では、アイスホッケーや、野球、乗馬などして楽しんでいる。

 既にその頃、奉天では、各家庭に水道、暖房が完備されており、その生活は内地より20年は進んでいると言われる程、文化的な暮らしだだった。※6へ

(写真は、かぼちゃの花をガラスの器に飾ったもの)
(上記は小説で、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)
posted by hidamari at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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