2005年09月02日

オランダ漫才の人形


2005090280170362.jpg※17 出会い
「慎ちゃんは良い子だ、よく働くし、素直だ」と父は事ある毎に褒めた。私はその事がとても嬉しかった。母は「でもねえー、ロシア人とのあいの子だからね、何を考えているか分からないよ」と冷ややかである。母の中では、満州でのソ連軍の悪行が消えることはなく、未だにロシア人アレルギーの後遺症が残っているのだ。

 中学校に入ってから私の成績は、思いの外良い物だった。小学校では、成績の順位付けがないので、自分がどれくらいの位置にいるかなど、誰も興味をもたなかった。ところが、テストの結果で、はっきり数字に出てくるのは、私にとって、1つのカルチャーショックだった。
 合併後初めての、1学期の中間テストは、学年トップになった。私は驚きと同時に「えっ、こんなものなの」と思った。が、すぐ、そんな甘いものではない事を思い知らされる。ちょっと勉強を怠ると、すぐガタンと順位は落ちた。それでも、1年生の間は何とか5番内をキープ出来ていた。

 あわただしく、1年は過ぎていった。
 次姉は県立商業高校へ進学、私は中学2年生へ進級、長姉は博多の洋品店へ就職、それと共に会社の寮へ入って独立する。
 長姉も次姉も、慎ちゃんには殆んど興味も示さず、話題にもならないのが、私にはとても不思議だった。
 時々私が「慎ちゃんはえらいんだよ」と話をふっても「ふーん、そうなの」と、にべもない返事なのだ。
 年齢の近い私だけは、いつも慎ちゃんを心の中で応援していた。

 慎ちゃんはその年、中学に進学してきた。通学はバスではなく自転車である。身長も少しは大きくなっていたが、他の生徒に比べれば格段に小さくて、当然クラスで1番のチビだった。※18へ

(写真は、かわいい顔の人形が好きな私にといって義妹がくれた、オランダ漫才の人形)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)
posted by hidamari at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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