2005年09月13日

琉球人形


20050913b34b6f78.jpg22 初恋
 慎ちゃんは、中学校を卒業したが、高校に進学する風でもなく、毎日農作業に励んでいた。
 その頃から彼の身長はグングン伸び始め、今では私が見上げるほどになっている。170cmは優に超えているだろう。顔つきも、丸い頬が少しこけてすっかり男らしくなり、丸坊主だった頭も5部刈りに程よく伸びてよく似合っている。農作業で鍛えた肉体も、がっちりした逞しい姿に成長していた。

 秀夫さん松子さん夫婦には、男の赤ちゃんが出来て、ますます、畑は賑やかになっており、松子さんのお腹には2人目もいて、既にお腹は大分せりだしていた。

 慎ちゃんと私はその頃、国道端や畑道で顔を合わせることがあると、よく立ち話をするようになっていた。
「秀夫さんが自動車免許を取りに行っとるとよ。でももう3回も試験に落ちとっと、あははは…」と、さも秀夫さんが、だらしないというように、可笑しそうに笑って教えてくれたり、「俺んとこで作ったかぼちゃ、すごく美味いよ、真理ちゃんとこへも今度あげるから」とか、何年か前までは考えられないような、三崎家に溶け込んだ話題も出てくる。

 他愛のないことばかりだったが、2人でいるだけで、胸の鼓動が高鳴った。慎ちゃんも同じ気持だということも分かっていた。話すことがなくなり言葉に詰まっても、お互い立ち去りがたく、時間だけが過ぎ去っていった。
 そして私は、この胸のときめきは、きっともう恋なのだと思ったのである。※23へ

(写真は、沖縄旅行の際、土産品店で買った人形)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)
posted by hidamari at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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