2005年09月25日

ヨーロッパみやげの壁掛け


20050925c67a4388.jpg※28 初恋
「それに、学校じゃますます遠くに感じたしねー、。だって真理ちゃんの成績、すごかったもん。廊下にしょちゅう貼られてたでしょ。それに、いろいろ、委員をしとったし、輝いとったよね」
「そんなことないって、ホントにもういいよ」
 慎ちゃんは頷きながらニッコリ笑って、
「でもね、…真理ちゃんが、休みの日になると、部屋で歌、歌っとったよね?その頃から…だんだん真理ちゃんのことが気になりだしたと。身近に感じるようになったというか…。あの時、ミツエさんにだいぶん冷やかされとったんだよ」
「えっ、ホント、何て?」
「えーと…『ほらほら、また真理ちゃんが慎ちゃんに聞かせるため、歌うとる』って」
 やはり、ばれていたのだと、私は恥かしさで一杯になり、唇を噛んで両手で頬をおさえた。認めるしかない。

「ああ、確かにね、歌ったよ。自分でも、何でか分からんけど、慎ちゃんに聞いて欲しかったのよ」
「やっぱ、そうだったんだ」
「違うの、慎ちゃんがいつもよく働いとったでしょ!私1コ年上だから、お姉さんのような気持がいつもしてたんよ。それで、応援するつもりだったと、何も出来んからせめて歌でも歌って勇気付けようと思ったのさ。それに吉永小百合の歌、いろいろ練習してたしね」
「それが、俺に伝わったとね。でもミツエさんにも。アハハ」と屈託なく笑った。

「でも、もうお姉さんのような気持はいいよ。俺も大きくなったけん。今度は俺が真理ちゃんのこと、守ってやるから」と、今度は真面目な顔で言った。私は(何、言ってんの、どうせ、高校卒業したら東京へ行ってしまうんでしょう?)と思ってしまうのである。気にしてないつもりなのに心の片隅に、慎ちゃんは高校を卒業したら、東京へ行ってしまう、ということが引っ掛かっているのが、自分でも不思議だった。(29へ)

(写真は、夫がヨーロッパ旅行の際買ってきてくれた壁掛け)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)
posted by hidamari at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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