2005年11月24日

ミルクチョコレート


200511243acf2fe6.jpg※58 旅立ち
 慎ちゃんといると、カシミヤの毛布に包まれているような心地よさがあった。
 会うまでは、将来を共に出来る男性ではないのに、会ってどうするのとか、知っている人に会ったらどうするのとか、ヒヤヒヤばかりするが、会ってしまえば魔法にかかったように何もかも忘れてしまい、大胆になってしまう。どうなってもかまわない、と思ってしまう相変わらずダメな私だった。
 憧れのステキな川辺さんといる時は、丸いボールの上にいるように不安定なだけなのに、慎ちゃんといるとどうしてこんなに心地いいのだろうかと考えてみる。
 それはとっくに分かりきっている。2人の気持が通じ合っているからに他ならない。
 私たちが愛し合っているのは紛れもない事実である。もし、この世に家族もなく、周りに誰も知り合いがいないなら、躊躇なく慎ちゃんと結婚するだろう。それが出来たらどんなに幸せだろうと思う。しかし、私には愛する両親がいた。世間体があった。それは私にとって何より大きな壁だった。
 父は、ある時至極真面目な顔をして、
「そんなことは無いと思うが、慎と付き合うことだけは許さんぞ、慎と付き合うくらいなら、どこかの浮浪者がまだましだ」と、私に引導を渡していた。
「なんばバカなことば言いよっと。そんなはずないっしょ。でもなぜなの、いつも慎ちゃんは良い子だ、よう働く感心な子だって褒めとるくせに」
「おまえはバカか、真理子の相手にはダメだって言うとるだけだ。慎がどんな生い立ちか真理子もよう知っとろうが」
「…」
「ロシア人の血が流れとっとぞ、獣ぞ」
 私は父から改めてそう言われた時、思わず身震いした。足元を救われた気がした。慎ちゃんが遠のいていった。慎ちゃんに対して漠然と恐怖を感じたのも事実だった。
 でも会えば、その恐怖もどこかへ吹っ飛んでいった。
慎ちゃんはいつも将来の夢を私に話してくれたし、それに向かって日々勉強をしていた。こんなに真面目で優しい子に、そんなに恐い血が流れているのが信じられないのだ。そんな宿命の彼がかわいそうでたまらなかった。私だけは信じてあげようと思うのだった。※59へ

(写真は、夫がパチンコで取ってきたフジヤのミルクチョコ。食後の1個はとても美味しい)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)

posted by hidamari at 09:19| Comment(0) | TrackBack(1) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2005-11-24 09:40