2005年12月10日

サンタの変わり人形


サンタの人形.jpg※66 旅立ち
 真理子、あんた何やってるの?親のいないのをいいことに男を連れ込んでるんだよ、恥かしくないのかい、今ならまだ間に合うからさっさと慎ちゃんを帰しなよ、としきりに叱りつけるもう1人の私がいる。
 その時、一瞬父と母の怒った顔が頭に浮かんだ。
 でも、私は開き直っていた。
 そんなに悪いことなの?確かに親が留守の間というのは良くないよ、でも、こうしないと私は前に進めないんだよ、明日からはきっとあんたの言う良い娘に戻るから、今夜だけは目を瞑っていて!お願いだから父さん母さんには内緒にして!と、私は必死でもう1人の私に向かって懇願していた。

 部屋へ入った慎ちゃんは、部屋の真ん中に立ちすくんだ。「俺この部屋に遊びにきている自分をいつも想像していたとよ」と感慨深そうに部屋を見回した。
 勉強机、本棚、洋服タンス、整理タンスを置いた、ただ長四角いだけの6畳間だが、私のお城である。日曜毎に掃除もしているので一応小奇麗に片付いていた。
 「この部屋にキツネ男が来たとやね」と慎ちゃんはぼそっと独り言のように言った。その彼の一言で私もまた、4年前の夏に起きたそのキツネ男のいやな出来事を思い出してしまった。
 「もうすっかり忘れとったとに」と言いながら、とたんに気分が滅入っていくのを感じていた。
 急に顔を曇らせた私をみて、あわてた慎ちゃんは「ごめん、思い出させて、……おいで」とまるで子どもをあやすように私に向かって両手を差し出した。

 私は、直に、慎ちゃんが差し出した両手の中に身体を投じた。その時私は、いよいよ慎ちゃんが成すがままに身を任せるのだと思い、身体が震えるのを禁じ得なかったのである。※67へ

(写真は、クリスマスのプレゼントとしてもらった小さなお人形)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)

posted by hidamari at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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