2005年12月12日

ミニチュア・クリスマスツリー


ミニクリスマスツリー.jpg※67 旅立ち
 2人が抱き合う時は暗い中が常だったので、蛍光灯の下でどうどうというのは何とも照れくさかった。カーテンも襖もしっかり閉めてあるのに誰かに見られているようだった。きっともう1人の私が見ているのだと思った。
 慎ちゃんは灯りを消さないまま、いつものように私を優しく抱擁した。慎ちゃんの腕の中で、私は知らず知らずのうちにいつものように甘く溶けていくのを感じていた。
 しばらくして私は何も言わずに押し入れから敷き布団と毛布を出した。そして服を自ら脱いで横になったのである。
 慎ちゃんも丁寧に自分の服を脱ぎ私の横に滑り込んできた。
 私たちは重なり結ばれた。
 慎ちゃんの体重が私にのしかかった時、母の体内に戻ったような安らぎを感じた。
 いつまでもこうしていたいという心地よい重さだった。男の身体がこんなにすべすべと柔らかく、肌と肌と触れ合わせることがこれほどホッとすることとは夢にも思っていないことだった。
「真理ちゃんの肌は白くてホントに綺麗だね、つきたての餅みたい、モチモチしとる」と慎ちゃんがうっとりした声で言った。潤んだ穏やかな目をしていた。
 私は黙って私の身体の上の慎ちゃんを再び強く抱きしめた。そして深くて甘いキスを何度も繰り返した。
 不思議なことに、もう1人の私はその間ぴたりと影を潜めて、チラリとも現れなかったのである。慎ちゃんと私の中に入り込む隙間がどこにもなかったのだろうか。68へ

(写真は昔もらったかわいらしいツリー。毎年この時期に出して飾る)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)

posted by hidamari at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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