2005年12月14日

クリスマス用花の寄せ植え


クリスマスの花の寄せ植え.jpg※68 旅立ち
 慎ちゃんを木戸まで送った私は、木曜日まで会えないから、とさりげなく言った。
「……何で?おじさんたち留守なのに」
「あさって土曜日にはもう帰ってくるんだよ、それにもうダメだよ」
「……手紙は?」
「ダメ!ちゃんと木曜日には手紙も持って行くから」
「……わかった、じゃあ俺も手紙書くけん」
 彼のけげんそうな顔が薄暗い灯りの中で見て取れたが、私は気付かないふりをして、努めて明るく、じゃあねおやすみなさい、と彼の背中を軽く押した。
 さっきまでとあまりに違うさばさばした私の態度に動揺したのだろうか、慎ちゃんは、不安そうに振り返って私を引き寄せた。
「怒ってると?」
「ううん、そんなことあるわけないでしょ」
「……それならいいけど、……じゃあ帰るね」と、気を取り直したように私に別れのキスをした。

 今まで慎ちゃんと過ごした日々の証として、私は今夜、私の身体の中に、彼の愛をしっかり刻みこんだのだ、と自分自身に言い聞かせていた。慎ちゃんに全てを捧げたことで、私は彼ときっぱりと別れられる、と思った。

 彼には手紙で、別れをちゃんと告げようと決めていた。別れざるをえない気持ちを、手紙にしたためるのが1番良い方法と考えたのだ。
 さすがに面と向かって口で言う自信はない。
 私からの一方的な別れのことばを、どんなふうに受け取ってくれるのか、はたして分かってくれるのか、彼が一途なだけに、不安は募るばかりだった。
 でも、実行しなければならないと固く自分に誓ったのである。※69へ

(写真は、料理の先生宅の玄関に飾ってあったプランターの花)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)

posted by hidamari at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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