2006年01月14日

佐賀牛コース


佐賀牛コース.jpg※83 旅立ち
 3月初めは日曜日も出勤する忙しさだったが、中旬になると、データ―作成に目途がついてきた。それで、やっと土曜の午後からと日曜日をちゃんと休むことが出来た。
 そんな土曜日の夜、久しぶりに父と母と私は揃って夕食を取った。
「真理子、慎君はいよいよ、明後日、月曜日に東京へ発つそうだぞ」
「そうなのよ、そう言えば、ご近所では皆、お餞別をあげたらしいよ、ねえ、父さん、ウチでも早くやらないと、父さん明日持っていって下さいよ」
「俺がかぁ?……そうだ、真理子持っていきなさい、おまえ慎くんとは仲がよかったし」
「……イヤだよ、私がやるわけじゃないし、それに私、久しぶりの休みだし、洗濯、掃除で忙しいよ」
 私は、内心大パニックだった。
― 何、明後日、もう行ってしまうの?このまま慎ちゃんとは会えなくなるの?―
 その後、ご飯が喉に通らなかった。砂を噛んでいるようだった。かといって何をどうすべきか、皆目見当がつかなかった。
「じゃあーいいよ、母さんが持っていくから、5千円でいいよね」と母は事務的に言った。
「それにしても、慎くんは偉いなー、昼間働きながら夜間大学へ行くとはねえー、真理子は親が金を出すというのに行かなかったのになー」
「そうよねー、もともと、三崎さんの血筋は皆頭良いからね、おばあさんもこれで安心でしょうし、ミツエさんもホッとされるでしょうよ」などと話している父と母のやりとりを、私は上の空で聞いていた。84へ

(写真は、暮に泊まった武雄の温泉ホテルで食べた夕食。夕食のコースの種類で宿泊料が異なる)
(上記小説は、カテゴリー小説[藪椿]で連載中)

posted by hidamari at 11:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 [藪椿] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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