2006年02月03日

花束の花


花束の花.jpg※4
 そのうちにそのスピードに慣れてきた晴美は、目をあけて風景を見る余裕も出てきた。目の前に、宝石が散りばめられたようにキラキラ光っている海が広がっていた。
 晴美は仕事のことをすっかり忘れていた。暗闇の中にぽっと小さ灯りが点ったように、心が少し明るくなった感じがした。
「きれい」と、晴美は自分でも驚くような大声を出した。
 啓介は、そこが穴場と分かっているのだろう、徐々にスピードを落とし、少し広くなった路肩にバイクを停めた。
「ちょっとだけ、夕日を見て帰ろう」とバイクから降りると、晴美に降りるように手を差しのべた。
 晴美は言われるまま素直に降りた。猛スピードが恐くて腹立たしかった怒りはすっかり吹き飛んでいた。むしろ、少しウキウキしていた。
「こんな真っ赤でこんなにでっかい夕日、初めて見ました」
「ちょっと海際まで下りてみる?」と言いながら啓介はどんどん海の方へ向かって歩いていく。晴美は小走りで後をついていった。ちょうど座るのにかっこうの岩を見つけて啓介は腰をおろし、どうぞ、と晴美にも座るように促した。※5へ

(写真は、花束の花をそのままバケツに活けたもの)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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