2006年02月05日

お正月活け花に枯れた花を取り替えて


正月の残り花.jpg※5
「ここから見る夕日は最高だろう、海が抜群なんだよなあ」
「よく、来るんですか?」
「釣りにくるんだよ、あんたとこの係長の中村さんなんかと」
「へー、そうなんですか?……ところで今日は今から何処か行かれるんでしょう?まさかこんな時間におウチに帰るはずないだろうし」
「ああ、ほら病院のちょっと先に大松製作所の男子寮があるの知ってるだろう?あそこで若い技師たちにギター教えてるんだ。1週間に1回だけど、連休にコンサートを開くから、この所しょっちゅう行ってるんだ」
「そうなんですか、ギターの先生?」
「まあな、もともとクラッシックなんだけど、フォークも軽音楽も何でもするんだ」
「スゴイですね、……それなら早く行かないといけないんじゃないですか?こんな所で油売ってていいんですか?」
「うん、……川口さんがしょんぼり帰っていたんでついね、元気づけようと思って、それに君、事務所でも元気ないみたいだから」
「ええっ?何でそんなこと、東元さんに関係ないでしょ」
「そうだけど、何か悩み事でもあるんじゃないかと思って」
「……私、未だに決った仕事がさせてもらえないんで、事務所に居るのが苦痛なんです。周りは忙しそうなのに」
 晴美は不思議とスラスラと悩みを口に出していた。この夕日と広々した海の前で、引きこもっていた心が一気に解放たれた感じだった。
「そうなの、君が来るのを事務所ではみんな楽しみに待っていたんだよ、中村係長も、今度、若い女性の新採が入るってずっと待ってたし」
「じゃあ、どうして仕事させてもらえないんでしょうか」
「きっと、今まで忙しかったんだよ、4月からいろいろ病院のシステムが変わったからね、その対応に追われて、君のことが後回しになっているんだ。よし、俺、中村さんに言っとくよ。毎日遅くまで残業してるから、今日でも帰りに事務所に寄ってみる」※6へ

(写真は、お正月の活け花に、枯れた花を菊の花に変えて、もたせているもの)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 12:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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