2006年02月09日

散歩道にあるパン屋さん


近所にあるパン屋さん.jpg※7
「ところで川口さん、スポーツ、何かやるの?」
 啓介は、急に話題を変えた。
「いえ、私、スポーツはあまり好きじゃないです」
 晴美は即座に答えた。
「病院じゃ、遊び程度でいろいろやってるんだよ、テニスコートもあるし、卓球台もあるし、看護師さん達はダンスもやってるよ」
「へえーそうなんだー」
「看護師の女子寮じゃ、たしか活け花やお茶も…、とにかくいろいろやってるから」
「仕事が軌道に乗ったら、藤田さんに聞いてみます」
 藤田佳代は、事務室の先輩女子職員で、晴美にとって1番身近な存在なのだ。年齢は27歳で新婚だということを、晴美は本人から聞いていた。佳代はなにくれと無く、晴美の世話をしてくれたが、何しろ日々の仕事に追われていた。午前9時から病院の受付業務、午後は会計業務をしている。空いた時間がないので、勤務中は何1つ無駄話は出来ない状態なのだ。お昼休みに話そうと思えば出来ないことはないが、晴美は疲れている佳代に迷惑をかけたくないと躊躇していたのである。
 
「連休最後の5日の日、暇だったら病院に出てきなよ、テニスコートでテニスの練習やってるから、俺テニスも人に教えるの上手いんだよ。すぐ、ダブルスできる様になるから、とにかく1度見にきなよ」
「ええっ、……でも見るだけなら、……考えときます」
そして、啓介は、満足したように、晴美を鶴崎町の自宅まで送った。
 晴美はその日、啓介が自分の住む家を知ったということに、そこはかとなく親近感が沸くのを感じたのである。8へ

(写真は、近所にあるかわいいパン屋さん。朝早くからいい香りが漂っている)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 15:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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