2006年02月28日

2枚目のレース編み


2枚目レース編み.jpg※16
 晴美の業務の内容は、窓口での受付、受診票の整理、端末機への打ち込み、統計事務等多伎に渡っていたが、晴美は毎日充実していた。元々几帳面な性格の晴美には、その日その日に片付けていく仕事は合っているのだろう。受診者がどんなに多くても、時間さえあればいつかは片付く単純作業でもあったので、数が多いほど晴美には返って張り合いがあった。佳代が思っていた以上に晴美は、実にテキパキと仕事をこなした。

 啓介は時折事務室に入ってきては、中村や他の職員と雑談していたが、晴美とは目を合わせることはなかった。それ程晴美は忙しく、お手洗いに立つのも、もどかしい程だったのだ。
 花の金曜日、事務所の職員は三々五々帰宅していった。
 晴美は仕事のきりがつく所までと、1人残業していた。そこへ、ジャンパー姿の啓介が勢いよく部屋に入ってきた。
「まだ仕事?それにしても皆早いね、もう帰ったの。…川口さんもさっさと帰んなよ」
「ええ、もう帰りますから、どうぞ帰って下さい」
「じゃあお先に!…アッそうだ、明日、テニスの練習やってるから、出てきなよ」
「えっ、あ、ハイ」
 晴美は頭の中で ーテニス、やらないのでー と言っていたが声にはならなかった。啓介は、部屋をまた勢いよく出ていった。※17へ

(写真は、随筆の会の友人から頂いた2枚目のレース編み。鏡台に掛けるとちょっと涼しげな感じがするが部屋は一段と明るくなった)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック