2006年03月30日

満開の雪柳


満開の雪柳.jpg※31
 海面が夕日に照らされキラキラと輝いている。それは海というより、草原に銀色のアルミ箔を敷き詰めたようだった。眩しかった。
 磯の香りが風に乗って晴美の鼻面を通り抜けていった。
 いつの間にか、前回と同じ岩場の所だった。
 啓介は、当たり前のように停車した。
「ちょっと、降りてみよう、……この先ちょっと行った所に砂浜があるんだ。近所の子供たちが泳いでいるよ、行ってみようよ」
 「えっ、でも、ギターの練習じゃないんですか?」
 「そうだよ、でもまだ早いから」
 「……」
 「行こう!」
 啓介は自分のヘルメットを外し、晴美からもヘルメットを受け取ると、それをバイクのハンドルにかけ、さっさと岩場の方へと降りて行った。
 晴美は仕方なく後を追っていった。
 緊張のあまり止まっていた汗がどっと噴き出した。凪状態の内海は風がぴたりと止んでいた。啓介の後姿は夕陽を浴びて黒一色、白い海とのコントラストをなしていた。
 岩場を歩き切ると、確かに白い砂浜が見えてきた。
 啓介は、立ち止まって振り返り、晴美を待っていた。
 「ほら、あそこ、いいとこだろう?子供たち泳いでいるし、遠浅になってるから、足をつけたらいいよ。……それとも泳ぐ?」※32へ

(写真は、今至る所で見られる雪柳。ある家の庭先の雪柳。あまりに見事だったので)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 17:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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