2006年04月01日

桜道―@


@.jpg※32
     ※
 晴美は一瞬驚いたような顔をして啓介見たが、すぐ冗談だと悟り、
「そうですね、泳いだら気持ちよさそう」と、笑って応えた。
 啓介は「冗談ではないよ、明日改めて泳ぎに来ないか?」と言った。
 啓介は、今日事務所で晴美を見た時、ふっと、明日晴美を誘って海へ泳ぎに行こう、と思いたったのである。
 佳代が産休に入って以来、最近、どことなく元気がない晴美が気になっていたこともあるが、田鶴子が女友達の結婚披露宴に出席するために、今日から東京へ出かけて留守のこともあった。
 明日からの土日を久しぶりに自由に使える開放感に浸っていた時に、元気のない晴美の存在が急に気になりだしたのだ。
 業務終了後、何時も、しばらくは事務室に残っている晴美に、帰り際にそれとなく声をかけようと思って部屋を覗くと、今日に限って晴美は既に帰った後だった。 
 バス停で、運よく晴美に会えたら誘おう、会えなかったら諦めようと思って、啓介は病院を出た。
 バス停で晴美の姿を見た時、啓介は心の中で小さくガッツポーズをした。

 「えっ、明日ですか?」晴美はけげんな顔をして啓介を見て、首を傾げた。
 「そうだよ、明日予定ある?」
 「……何で私と?」
 「ああー、彼女のことねえ、……明日友達の結婚式って、今日から東京へ行ってるんだ」
 「……でも、いいんですか?留守だからといって」
 「いいんだよ、まだ結婚してるわけではないんだし、……他の人とプラトニックな付き合いがあってもいいと思っているんだ」
 「……でも、矢部さんとか、あと看護師さんとか……」
 「うん、でも急に思いついたんだもの。とにかく、明日夕方4時頃迎えに行くよ。車で行くから、着替えも車ですればいいし、……帰りも送るから、帰ってすぐ家でシャワー浴びればいいだろう?」啓介はなかば強引だった。※33へ

(写真は、温水浴健康教室があるスポーツ交流館へ行く道の桜)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 17:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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