2006年04月07日

城跡公園の桜


城跡公園の桜.jpg※35
 晴美は話すことばが何も見つからなかったが、2人で並んで座っているだけでとても幸せだった。2人でいて1人の世界になれるのもまんざらではない。
 ―こんなに夕焼けが綺麗ということは明日もきっと晴れるだろう。
 啓介に誘われるままに、ここへ泳ぎにきていいのだろうか?啓介は明らかに暇つぶしに私を誘っている。私もたまたま暇なら、一緒に楽しんで悪いことはない。女友達と思えばいいのだ。
 ううん、もしかして、私、騙されているんじゃ…?でも騙されるって、お金をむしり取られたり、身体を持て遊ばれたりすることでしょう?
 東元さんに限ってそんなことはないから、それはないし……―
 啓介が「そろそろ時間だ、帰ろうか」と言って立ち上がるまで、晴美は、横に啓介がいるのを忘れて、そんなことをあれこれ考えていた。
 そういえば、啓介はいったい何を考えて夕陽を見ていたのだろう、と晴美はふと思った。
 「夕焼けが綺麗だから、きっと明日も良い天気ですね」と言って晴美も立ち上がった。
 「そう、だから泳ぐには夕方からでちょうどいいんだ、お盆過ぎればクラゲが出るから、泳げるのはちょっとの間なんだ」
 晴美は、2人でいる時は何も考えずにただ楽しめばいいんだ、たとえ、後で悲しむことがあっても、楽しい時を持った方がまだましだ、と考えるに至った。
 そう思うと、急に明日が待遠しく感じられ、帰りの砂浜もルンルン気分になった。
 「走ろう」と啓介が言った。
 「ええ」と言って晴美は先になって、走った。※36へ

(写真は、恩師と同級生とで花見に行った公園の桜)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)
posted by hidamari at 13:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック