2006年04月11日

ソメイヨシノと山桜のコラボレーション


メイヨシノ.jpg※37
 晴美は午後4時という時刻が、どれだけ中途半端なものか思い知らされていた。
 午後から時間を潰すのにいろいろなことをやった。何度も鏡の前で髪を直した。メークを直した。新聞を読んだ。パソコンを開け、ホームページをあちこち覗いた。そのうちにだんだん気持ちがブルーになっていくのを感じていた。楽しいはずのデートがだんだん気が重くなっていく。
 3時半を過ぎると、待ちきれなくなった晴美は出かける決心をして、とうとう表へ出た。
 クーラーの効いた部屋から、1歩外へ出ると、 雲1つない青空と、ジリジリと照りつける太陽で、眼前の世界は地面から湯気が出るほどの暑さだった。
 白いレースの日傘、白いサンダル、白いエナメルのバッグに薄いブルーのノースリーブワンピースというコスチュームの晴美は、炎天下の下でも十分輝いている。
 晴美は自分の容姿に全く自信はなかったが、肌が白いのだけは自慢だった。だから、肌を見せる夏の季節が嫌いではなかった。
 職場には、たいていズボンかスーツを着用している晴美は、今日のワンピース姿を啓介に見せるのも、楽しみの1つだった。

 幸いなことに、晴美の住む鶴崎団地内は静まりかえっていた。夏休みなのに子供の姿もない。今の子供たちはクーラーが効いた部屋でゲームするのが主流なのかもしれない。
 晴美は小高い丘になっている団地から、誰に会うこともなく坂道を降りて国道へと歩いていった。国道で啓介を待とうと思ったのだ。啓介は車で迎えに来ることになっている。※38へ

(写真は、山の側面に白いソメイヨシノとピンクの山桜が重なるように咲いていたもの。遠くから見ると濃淡のあるピンク色のクレヨンを横に塗りたくったような素朴な美しさだった)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック