2006年04月13日

家中花だらけ


家中花だらけ.jpg※38
 団地内のだらだら坂道を下っていくと国道に出る。そしてその角に屋根がついたバス停がある。
 晴美は、そのバス停で啓介が迎えに来るのを待った。
 啓介が、南の小川市中心方角から来るのか、北の啓介の自宅方角から来るのか分からなかった。車の色も車種も聞いていなかった。携帯電話に連絡がないということは、啓介はきっと迎えにくるはずである。
 腕時計を見るとそろそろ4時になるところだった。
 その時、南の方から走ってきた紺色のスカイラインが団地の入口に右折して入り込み、停車した。
 時間通りに啓介が迎えに来たのだ。
「やあ、待ってたの?暑かったでしょう?家にいてよかったのに」と、車から啓介が笑顔で降りてきた。
「待ちきれなくて……」と晴美は、自分でも驚くほど素直に応えた。
「ごめん、さあどうぞ」と助手席のドアを開けて、啓介は慣れた手つきで晴美をエスコートした。
 真っ白いポロシャツとブルーのジーパンの啓介は、テニスの時に被っていたつばのついた白い帽子がよく似合っていた。
 晴美は夢見心地だった。好きな男性と彼の運転するスマートな車で、しかも2人だけで海へ泳ぎに行けるなんて、思ってもみなかったことだ。夢なら覚めないで欲しいと願った。39へ

(花束として頂いた花は飾る所がないので、バケツに入れてそのまま楽しむ)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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