2006年04月17日

縞小紋と桐下駄


ネ小紋3連.jpg※40
 2人で海水浴をした日、晴美は、啓介に恋をし、啓介も晴美を恋人のように扱ってくれたと思った。
 しかし、その日以後、啓介からは何のコンタクトもなかった。毎日毎日メールをチェックしたが、何の音沙汰もなかった。
 職場では毎日顔を合わせ、仕事のことは普通に話をしている。
 あの海水浴での楽しかった時間は、本当は、夢の中の出来事ではなかったのかと思うほど、啓介はそ知らぬ顔をしていたし、別人と思うほど冷静で普通どおりだった。
 晴美は初恋と失恋を一瞬の内に経験したのだと思わざるを得なかった。

 もともと、啓介にはれっきとした恋人がいるのは事実である。楽しいことの後には苦しいことが待っている、というのも分かって、海水浴に行ったことだった。
 それなのに、その日だけの連絡用として携帯に登録した、啓兄チャンとしての番号を、なかなか消すことが出来ない晴美だった。

 そんな辛い精神状態のまま、月日は過ぎて行き、やがて佳代が無事男の子を出産したと連絡が入った。いつの間にか9月になっていたのだ。
 失恋には時間が薬という。晴美もだんだん元気を取り戻していた。
 今では、啓介とのことは、青春の1ページとして夏の思い出にしようと、決心がついていた。※41へ

(写真は、昨日、随筆の会に出席した時着た、縮緬縞小紋と、新しく購入した下駄)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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