2006年04月27日

躍動する乙女


春に跳ねる乙女.jpg※45
 それから1週間位、病院の職員の間では、蒲田と慶子の駆け落ち事件の話題で持ちきりだった。
 特に薬局では、人手不足ですぐに支障をきたしていた。 市役所の保健部からは、早速、この不祥事に眉をひそめて調査を開始した。院長を始め、薬局長、事務局長達は、連日対策に頭を悩ませている状態だった。
 慶子の家はお寺だった。厳格な住職の父親は、蒲田に対してカンカンに怒っていたが、何しろ当の本人は娘と失踪中なので、怒りの鉾先を何処へ向けていいのか分からず、誰にも会わないという。
 人の噂では、娘可愛さに、ほんとは裏で手助けをしているのではないかという、実しやかな話も伝わっていた。

 それにひきかえ、蒲田の妻は可哀想だった。
 このまま帰って来なかったら、有給休暇を使い切った時点で、退職に追いやられることになるのだ。40歳そこそこの蒲田は退職金も微々たるものだという。小さな男の子3人を抱えて、明日から、生活に困るのだ。※46へ

(写真は、彫刻家北村西望の作品)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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