2006年05月06日

SSKドック


SSKドック.jpg※49
「お久しぶりです。川口晴美です」と、声をかけていた。
「えっ、何処かでお会いしてましたか?」
「ああ、いえ、昨年面接試験で…」
 人事課長は、晴美の顔を、右手を頬に当て左手は右手の肘を押さえ、シゲシゲと見つめていたが、ハッと目を見開いた。
「ああー、思い出しましたよ、確か英検1級をお持ちだった人ですね」
 嬉しかった。
 自分が1番の自慢だったことをちゃんと覚えてくれていたことに、晴美は思わず涙が出そうだった。
 人事課長はとても上品なロマンスグレーだった。
 眼鏡の奥の目はとても優しく、晴美はまるで自分の保護者のように親しみを感じたのである。
「どうですか?仕事は慣れましたか?」
「はい、どうにか……」
「どんな仕事をしているの?」
「受付です」
「そうですか?……英会話が生かされる仕事がしたかったんですよねぇ」
「実はそうだったんですけど……」
「ここが欠員だったので廻されたのでしょう」
「ええ、それに実家が近かったこともあるかもしれません」
「ご実家はどこなの?」
「鶴崎町です」
「なるほど……、分かりました、来年4月の異動で、希望が叶うように考えておきますよ」
 晴美はまさかこんな展開になるとは夢にも思わないことだった。
「えっ!ほんとうですか?」
「ええ、それまでしっかり頑張って下さい」※50へ

(写真は、バスの中から撮ったSSKドックの一部)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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