2006年05月17日

図書館


図書館.jpg※54
「あるんだよ、年取るとね、男は無理するんだ。長谷屋さんて何歳でしたっけ?……たしか私と一緒ぐらいじゃないですか?」
「長谷屋さん59歳ですよ、それに中学校の先生」と秋津が間髪を入れず応えた。
「女性は何歳?」
「40歳代で、未亡人。やっぱ先生ですって。見舞いにも頻繁に来てたらしいし」
「……女性が若いと男はやっぱ無理するんだよね、分かるよ」
「でも、愛人さん、突然そんなことになって困ったでしょう?……それでどうしたんですか?」晴美は、状況を想像していた。
「それが、普通は救急車を呼ぶでしょう?でも、その女先生まず自宅の奥さんに電話したらしいの。それから大変だったのよ」
 病院の近くに自宅がある秋津は、朝早くから呼び出されたらしく、とても疲れた様子だった。にもかかわらず、話し始めたらからには仕方ないというように、主治医の市原が長谷屋の妻から連絡を受け、直ちに現場に駆けつけ、死亡確認をしたこと、その後、遺体は内々に自宅へ運ばれたことなどを、こと細かに話してくれたのだった。
 救急車を呼ぶと、変死ということで警察が捜査に入り公になっただろう。しかも、教師同士ということが、世間の非難の目にさらされる。家族もかわいそうだということで、市原は夜中にも関わらず、骨を折ったらしい。

 晴美は、そんなことになるなんて、不倫なんかするからですよね、天罰よ、と憤りを押さえきれず、加藤と秋津にも、そうでしょう?と念を押した。
 2人がどんなに感じているのか知りたかったのだ。
 晴美にとってはあまりにも刺激的な許せない事件だった。
 秋津の方は、そうよ、と自分まで借り出されたことも、さも迷惑と言うような顔をした。
 ところが加藤は、意味ありげに、ニヤッと笑った。※55へ

(写真は、私が行く図書館。プールも同じ敷地にあるので週1回は行くところ)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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