2006年06月05日

A公園の花菖蒲


A花菖蒲.jpg※63
       ※
 親が何回廻って来ただろうか?
 時計は11時を廻っていた。
 啓介のマージャン卓のメンバーは院長、若い医師、事務局の中村係長と啓介だったが、そこまでの成績は、中村の1人勝ち状態だった。啓介はプラス、マイナストントンというところだろう。
 マージャンに限らず勝負事というのは、勝ち逃げするのは気が引けるものだが、トントンなら、代わりのメンバーがいれば抜けることはさほど難しいことではない。
 たまたま後で観戦していた、薬局長と啓介は交代することが出来た。
 啓介がマージャンを抜けようと考えたのは、何も計画的なことではなかった。
 1つはとても眠かったこともある。しかし、1番の理由は後で観戦していた薬局長に気を使ったからである。当初、8人のメンバーが、2卓でゲームを始めたのが、いつの間にか観戦者が寄ってきて参戦したがっていた。もう1卓では既にメンバーが交代しているようだった。1番若い啓介は、ここはやはり気をきかす必要があるだろうと思ったのだ。

 啓介は遊技場の隅に置いてあるソファーに横になると、そのまま、すぐ寝入ってしまった。
 夢の中で携帯のチャクメロが鳴っていた。
 啓介は、晴美からの電話だろうな、とポケットの中の携帯を握ってぼんやり思った。
 何度も何度もコールしていたが、啓介は無視した。
 さっき約束した晴美だと分かっているのに、なぜ喜んで携帯に出ないのか自分でも理解出来ないことだった。
 とにかく眠くてたまらないことは事実だが、電話に出るのをはばかられたことも事実だった。※64へ

(写真は、城跡公園の花菖蒲)
(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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