2006年06月19日

小説〔茜雲〕

※70
「そんな大切なもの、私が貰えるわけありません」晴美が出した結論だった。
「心配するなよ、それほど高い物でもないし。それに、何も大意がある訳じゃないから。男の俺が持ってても使えるわけないし、…かといって誰彼にあげるわけいかないだろう?あげるには君が1番適当だと思ったんだ」 
「東元さん、それは彼女にあげるべきでしょ」
「もちろんそれは考えたよ、でも彼女、こんなダサイなもの、するわけないだろう、日頃付けてるアクセサリー見れば分かるから」
「……」
「あっ、ゴメン、決して君がダサイというんじゃないよ。……大意はないんだ。ただ1年間の君との思い出に、何か記念になるものをあげようって考えたんだけど、思いつかなくてさ。そしたらお袋のこのブローチを思い出したんだ。お袋も喜ぶと思うんだ。俺が似合いそうな人を選んであげること…。時々洋服につけて貰えればそれでいいから」
 啓介は箱からブローチを出して晴美に
「ねっ、貰ってくれるだろう」と言った。
 星の形をした2センチ四方くらいの銀台に1センチくらいのピンク色をしたよく巻いた真珠の玉がキラキラ輝いていた。
「わあー、綺麗!」
 晴美は正直素晴らしいものだと思った。
 ―これをホントに私が貰えるの?―夢の中にいるようだった。
「ホントにいいんですか?」
「もちろん」
「それじゃ、大事に大事に…使わさせて頂きます。有難う」晴美はおそるおそる手を出し、それを受け取り胸に押し当てた。※71へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説[茜雲]で連載中)

posted by hidamari at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔茜雲〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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