2006年08月08日

小説・喫茶店

19
 遙は自分が消極的な性格だとばかり思っていたが、茂に対しては、驚くほど積極的な行動をとっていることに、気が付いていた。
 あの日、まさかあんなに早々に誘われると思ってもいなかった。突然誘われ、何の心構えもなかった。いつもの癖で反射的に断ってしまったけれど、その後すぐ後悔した。
 それまでの遙は、たとえ断ったことを後悔したとしても、次に誘われるまで、決して自分からなど声をかけたことはなかったのである。
 それがあの時、2分もしないうちに彼を追いかけていた。かっこ悪かったが、断ったことを撤回した。そしてそのまま喫茶店へ行き食事をし、何もなかったがホテルまで行ってしまった。
 我ながら、あっぱれというほど、積極的な行動だった。
 ホントはわたし、消極的だなんて嘘だ。
 いや、人はせっぱつまれば、誰でも積極的に変わるんだ。

 これから先自分にどんな未来が待っているのか、ワクワクする一方で不安な気持ちも消せなかった。その夜、喫茶店マロニエで、遙は、早まる気持ちを抑えて、今か今かと、ドアを開けて茂が入ってくるのを待っていた。20へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説〔喫茶店〕で連載中)

posted by hidamari at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔喫茶店〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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