2006年08月16日

小説・喫茶店

23
 かれこれ1時間半以上待っていた。ウエートレスが何回お冷を注しにきたのだろう。
 遙の心は時間が経つに連れて穏やかでいられなくなっていた。6時を過ぎた頃、待ち切れず電話した。案の定電源が切られている。仕事中だと思った。仕事だということは疑う余地はない。でも、遙にはどうしても理解出来ないことがあった。遙が待っていると分かっているのに、連絡してこない、しかも遙から電話が来るかもしれないのに電源を切っている茂の無神経さだ。
 もし自分が逆の立場だったら、1度は連絡を入れるだろう。男と女では考え方が違うのだろうか。そんなはずはないわ。彼はやはり私にあまり関心がないのでは…。
 そんな不安が胸の中に渦を巻く。
 テーブルの上に文庫本を広げている。目は文字を追っているが、頭の中は茂の心をずっと推しはかっていた。時々、鬼のような形相になっている自分に気がつき、あわてて冷たいコーヒーを口に運んだ。気分を落ち着かせるためだ。
 腕時計を見ると7時を過ぎようとしていた。
 その時、カランカランとドアベルがなった。胸が張り裂けるほどドキドキした。
「ごめん、待たせて…」
 遙は、イライラがスーッと解消されていくのを感じた。
「ううん、お仕事お疲れ様」
 喜々とした遙の透る声に、周りの客はいっせいに2人に注目した。24へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説〔喫茶店〕で連載中)

posted by hidamari at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔喫茶店〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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