2006年08月24日

小説・喫茶店

27
 茂の仕事はたいてい現場歩きである。小型四輪駆動の公用車は茂の専用車なのだ。乗り心地は決して良いとはいえないが、茂はけっこう気にいっている。
 12月に入って、茂が席を置いている総務課も何かと気忙しかった。
 その日、茂が出勤すると、総務係が何かもめているようだった。茂には関係ないことだったが、聞くとも無しに聞いていると、公用車使用の出張が重なっているようで、日程をどちらか変更出来ないか、というようなことである。
 職員行動表の掲示板を見ると、一方の職員の行先は茂がこれから行こうとしている町である。
 差し出がましいと思ったが、茂は「僕の車に同乗してもらっていいですよ」と声をかけていた。ホントはあまり好ましくない行動だった。仕事はシビアなものだ。事情はどうであれ、管轄外のことは責任取れないからだ。
 しかし、同じ町に行く職員は保坂みどりだった。
 それを見た時、茂の心にパッと花が咲いたような不思議な感覚が一瞬通り過ぎていったのだ。とっさの判断だった。他の職員だったら、声をかけていなかったはずである。28へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説〔喫茶店〕で連載中)

posted by hidamari at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔喫茶店〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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