2006年09月09日

小説・喫茶店

35
 12月24日、六島にある小、中、高、幼稚園と、学校はいっせいに終業式をして、25日からいっせいに冬休みに入る。
 遙はこの日を首を長くして待っていた。
 考えてみると、12月になって茂にまだ1度も会っていなかった。それは確かに、遙の方も、学校行事や忘年会、家族や親戚の行事等でとても忙しかった。
 でも、恋人同士なら、どんなに忙しくても、1目だけでもいいから会いたいと思うのが普通なのではなかろうか。
 もし、茂から会いたいと言われれば、遙は万難を排して会いに行くだろう。
 しかし茂から連絡はこなかった。
 だから、遙はいつも不安だった。茂に対して不信感さえ抱いた。いてもたってもいられず電話をした。定期的にメールも入れた。
 そんな時、決ってそっけない返事が返ってくるだけだった。
 茂の方も実際忙しかった。
 本土へ宿泊付き出張も何度かあったし、飲み会も多かった。
 そんな中で遙は、クリスマスイヴだけは、どんなことがあってもデートしようと、茂に約束を取り付けていた。茂は案外快くその約束を受け入れてくれていたのだ。
 その約束があったからこそ、遙は毎日をある程度平穏に暮らすことが出来た。
 その間、クリスマスのプレゼントにしようと、忙しい合間をぬって、茂のセーターをせっせと編んでいた。
 編物をする時間は唯一遙の気持ちを落ち着かせ、ほのぼのと幸せを噛みしめるひとときだったのである。36へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説〔喫茶店〕で連載中)

posted by hidamari at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔喫茶店〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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