2006年09月11日

小説・喫茶店

36
 12月24日イブ、明日は土曜日で茂も仕事は休みである。今夜はゆっくり出来ると遙は心が躍るのを抑え切れなかった。
 学校を5時前に早々と引き上げ1度自宅に帰った。それから化粧を直し、洋服もシルクのワンピースに着替えた。流行りの胸の開いたワンピースはベージュ色で遠目には肌と見分けがつかないのが、とてもセクシーだった。もちろんそれには流行りの短いボレロが付いている。ボレロはワンピースとセットになっており、スカートの裾模様と同じ若草色の小花があしらってある。それは、ベージュ色と絶妙にバランスが取れていて、全体的にはクリマスにぴったりな華やかなものになっていた。遙が思い切ってこの冬のボーナスで張り込んだものだった。

 その夜、遙は、お泊りでもかまわないと思っていた。
ただ、茂のマンションには、これまで1度も行ったことはない。茂の部屋を覗いてみたいという気持ちは多いにあるが、同じマンションに、遙の同僚の先生が昔から住んでいるのだ。しかも年配で独身女性なので、さすがに近寄り難かったのである。茂との話の中で偶然そのことが分かり、茂の方もそれを知っている。暗黙の了解で2人は何となくマンションで会うことを避けていたのかもしれなかった。
 遙は、とにかく明日は2人ともお休みで今日はイブ、今マロニエに行きさえすれば、彼に会えるという幸せに酔っていた。37へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説〔喫茶店〕で連載中)

posted by hidamari at 12:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔喫茶店〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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