2006年10月01日

小説・喫茶店

46
 年末、年始の休暇は主婦にとって目の廻るような忙しさだ。でもそれはみどりにとっては楽しい充実した期間でもあるのだ。家庭にいる時は仕事のことは一切忘れてしまう。家事に振り回されている間は、当然職場の難しい人間関係も、し残しの仕事のことも思い出す暇がないのだ。
 職場でのストレスは、家庭で家事をすることによっていつの間にか払拭されるし、反対に家庭のストレスは職場で仕事に追われることでうまいこと払拭出来る。家庭と職場の仕事を交互にこなす事で、バランスが取れていると、みどりは共働きの今の状態に感謝していた。

 4日に久しぶりに職場に出て、みどりはほっとしたのだ。なのに、いま一つ落ち着かないところがあった。何かもの足りなかったのだ。
 茂の姿が見えないことはすぐ分かったが、まさかそんなことが影響されているとは思いたくなかった。しかし、やはりそれしか考えられなかった。
 休みの間はこれっぽっちも茂のことは思い浮かべなかったのに、事務所で自分のデスクに座ったとたんに茂の存在がクローズアップされたのだ。
 不思議な感情だった。
 明日になれば、茂はきっと何事もないように出勤するだろう。
 それなのに、心にぽっかり穴があいたような寂しさがあった。不安でたまらないのだ。
 これってもしかして、彼を意識しているのだろうか?
 そんなはずはない。
 単に職場の友人として、居るべき人が居ないのが気になるだけだと、みどりはむりやり自分に言い訳をしていた。47へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説〔喫茶店〕で連載中)

posted by hidamari at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔喫茶店〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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