2006年10月07日

小説・喫茶店

49
 遙の茂に対する熱い思いを知っているだけに、茂は4月転勤のことを切り出しかねていた。
 今年になって遙がよく口にしているのは「4月に転勤てことはないよね」ということばだった。
 その度に「ないとは思うけれど、前例を見ると1年から1年半で本土へ帰されるケースが多いよ」と、それとなく引導を渡していた。
「もし転勤て分かったら、その時点ですぐ私にも教えてね」と、茂の転勤に対して遙は異常に神経質になっていた。
 教師の遙は自身の転勤も考えられることだった。 
 転勤先は六島内が殆んどだが、中には本土へ転勤していく人もいるのだ。
 茂と結婚出来るなら、本土への転勤を希望することも、遙は密かに考えていた。
 茂は遙がそこまで考えているとは知らなかったが、少なくとも、かなり動揺するだろうということは分かっている。
 転勤のことはなるだけ遅く知らせる方が賢明であると考えた。
 でも、みどりには、一刻も早く転勤のことを知らせたい、という思いにかられていた。50へ

(上記小説は、カテゴリー短編小説〔喫茶店〕で連載中)

posted by hidamari at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説〔喫茶店〕 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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