2007年10月16日

小説・優しい背中

bQ
 入社当時は30名程の社員数だったが、20年の間には増減の起伏があり、現在は正社員が15名である。支社長、副支社長、総務企画部3名、経理部5名、販売部5名、常時アルバイトが4〜5人名いう体制は、組織としてはちょうどいい具合だった。
 女性の中では、絵里子の42歳という年齢は最も高かった。その分、キャリアもあるが、給料も高い。絵里子は、そのことを少し申訳なく思っているので、仕事もバリバリこなす一方で、人がやりたがらない雑用も進んでやった。
 日頃から、掃除やお茶くみは、女性なら当然やるべきだと心得ている。それゆえに、年長者であるにも拘らず、何の抵抗もなく、自然に出来るのだ。
 そんな絵里子の謙虚な姿を見ても、今の若い女性社員は、見て見ぬふりをしている。
 いつの間にか、雑用は絵里子がするものと、決っているかのようだった。
 絵里子は、それを不服とも思わなかったし、若い人を咎めたりもしなかった。
 それは、嫌われたくない、という狡さかもしれなかったが、仕事さえちゃんとやってくれれば、という会社の経営方針にも添っていた。
 
 絵里子は、年をとっていくことに少しもあせりは感じていなかった。むしろ、今が人生の中で1番余裕があるように思えた。職場の今の立場も心地よかった。
 どんな支社長が来ようと、自分は自分、絶対、媚を売るような真似だけはすまいと、絵里子は決心していた。
 ぼんやりお茶をすすっていると、机に届いていた暖かい斜光が一瞬遮断された。bRへ

(上記は〈小説・優しい背中〉で連載中)

posted by hidamari at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・優しい背中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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