2007年10月28日

小説・優しい背中

bW
 「昨日、スポーツクラブで君を見かけたけど…」
 いきなり柴谷は絵里子に話し掛けた。
 絵里子は突然の問いかけに驚き、素直に応えていいものか一瞬ことばに詰まった。自分がスポーツクラブで水泳をしていることをあまり他人に言いたくなかった。まして、柴谷にプライベートなことを知られたくなかった。
 「そうですか、ハッピースポーツクラブに何かご用があったのですか?」
 仕方なくそう応えた。
 「いやね、僕、東京でもずっとスポーツジムに通っていたんだ。ここでも、落ち着き次第また行こうと思って、スポーツジムを2〜3ヵ所廻ってみたんだよ」
 「そうなんですか」
 「それでハッピーに決めたよ」
 「えっ、そうですか」
 「で、大城さんは何をやっているの?」
 「…プールでちょっと」
 「そう、スイミングもいいね」
 「僕、火曜日に行きますから」
  柴谷はずっとさわやかな笑顔だった。
  絵里子はヤバイことになったと思った。しかし、まあ、スポーツセンターが一緒だからといって、火曜日に行かなければ会うこともないだろうと思った。それなのに、なぜか、柴谷のさわやかな笑顔が脳裏に焼きついたのである。bXへ

(上記は〈小説・優しい背中〉で連載中)

posted by hidamari at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・優しい背中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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