2007年11月21日

小説・優しい背中

20
 柴谷には、同じ年齢の妻と、長女10歳、長男8歳の子供がいる。家族をそれなりに愛していた。妻とは同じ大学の同級生同士で、大学を卒業してすぐ結婚した。長いこと子供が出来なかった。
 すっかり子供のことは諦めた時、ゴルフ仲間の女性丸山桃子と関係を持つようになった。桃子はその頃まだ27歳だった。裕福な家の1人娘で、おっとりしたおとなしい娘だった。眼鏡をかけていたが、眼鏡を取れば大きな目で愛くるしい顔をしていた。
 ゴルフ仲間は、年輩の会社社長夫婦と、やはり年輩の男性既婚者、それに柴谷と桃子の5人だった。必ず5人が揃うということはなかったが、年に1度はゴルフ場のある所へ、1泊旅行に出かけることもしていた。
 妻が、たまたま社長夫婦をよく知っていたことで、柴谷が毎週ゴルフをすることも、旅行することも、何のわだかまりもない様子だった。いつもたんたんと送り出してくれた。
 桃子と関係を持つようになってから、妻が妊娠したのは、怪我の功名というか、瓢箪から駒が出たようなものだった。立て続けに2人の子宝に恵まれた。もし、桃子のことがなかったら、妻との間には一生子宝には恵まれなかったような気がしている。
 他の女性と関係を持つことが、妻の妊娠を誘発することに、医学的な根拠があるのか、ないのか分からないが、柴谷は絶対何かあると信じている。
 そう信じることによって、妻に対する罪の意識を軽減させているのかもしれない。
 桃子に対しては、さすがに不憫に思い、さんざん結婚するように勧めた。もちろん、桃子の両親は必死で見合いを勧めているようだった。桃子は、その気がないのか、一向に結婚する気配がない。
 柴谷に怒ることもせず、その後も柴谷と関係をもち続けた。それは、福岡に転勤するまで続いていた。21へ

(上記は〈小説・優しい背中〉で連載中)

posted by hidamari at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・優しい背中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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