2008年05月08日

小説・測量士の恋

14
 光は隣で眠っている真佐子の安らかな寝顔を見ると、とても不思議な気持になる。
 つい最近まで、というか半年前までは、まさか自分がこんなに早く結婚するとは思っていなかった。
 結婚している自分を想像すらしていなかった。
 結婚したいなどと考えたこともなかった。
 光は、北田真佐子と結婚したことを決して後悔している訳ではない。それどころか、今とても幸せなのだ。
 真佐子と初めて会った時のことを、光はあまりよく覚えていない。
 昨年の4月から約2ヶ月、光は福岡市郊外を通る国道で測量の仕事をした。
 その間、国道沿いのコンビニでお昼の弁当を買うことが多かった。
 そのコンビニのレジに真佐子がいたのである。
 元々人見知りで恥かしがりやの光は、若い女性をマジマジ見ることはまずなかった。
 その頃、美鈴の初々しい姿に魅了されていた時期でもある。毎日、風のように通り抜けるだけの存在だった美鈴を、あかず眺めていた。それで心が癒されていた。
 彼女と会わなくなって、気が抜けたわけではなかったが、光は連休明け、初夏のような暑さの中でふとした気の緩みで、段差のある工事現場で足を踏み外したのである。大したことはないと思っていたのだが、右足首の骨が折れる大事に至っていた。
 救急車で運ばれたのが工事現場から近い救急病院だった。そして、そのまま約1ヵ月間入院する羽目になってしまった。
 何しろ右足は吊るされた状態で固定されていた。
 宮崎から母親がかけつけてきた。3日間は看病してくれたが、完全看護ということもあり、その後心を残しながらも帰っていった。
 そんな時、突然、病院に現れたのが真佐子だった。15へ

(上記は、カテゴリー児童短編小説・つぶらなひとみ〈測量士の恋〉で連載中)
posted by hidamari at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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