2008年05月23日

小説・測量士の恋

17
 真佐子は光が入院している間、こまめに病院へ通った。
 最初は有難迷惑と思っていた光も、そのうち真佐子の来訪を心待ちにするようになっていた。
 なにしろ、入院生活は退屈だったし、ちょっとした用事、たとえばATMへお金の出し入れに行くのも、スポーツ新聞を買いに行くのもままならなかった。
 決った時間に真佐子が来てくれるのは、本当に助かったのである。
 しかも彼女は知れば知るほど良い娘だった。今時珍しく質素な生活態度だった。服装も身奇麗にはしているものの、決して派手ではなかった。それに決して無駄使いはしなかった。差し入れに持ってくるものは、ちらし寿司、煮物、サラダ等手料理を持ってきた。日曜日にはケーキも焼いてきた。
 また、クリーニングに出すのはもったいないと、汚れ物は自宅へ持って帰り、綺麗にアイロンを当ててくる。
 こんなに至れり尽くせりなら誰だって好きにならずにいられないだろう。
 しかも、真佐子はどこへ出しても恥かしくない美人ときていた。
 光は降って沸いたような女神の出現に、これは何かの間違いではないかと思うくらいだった。
 しかし、これが俺の運命だったんだ、と思うことにした。
 母親が2度目に訪ねて来た時、迷うことなく真佐子を紹介した。
 母親も当然、ひどく彼女を気に入った。
 退院が決った時、真佐子の両親は光を自宅へ招待し、退院祝いをしてくれた。
 光と真佐子は、普通の若者がするようなデート等をすることもなく、お互いに結婚を意識するようになっていた。18へ

(上記は、カテゴリー児童短編小説・つぶらなひとみ〈測量士の恋〉で連載中)
posted by hidamari at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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