2008年06月08日

小説・目障りな女

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 山本百合子は今年の4月に上原工場から本社総務課へ転勤になったばかりである。上の原工場の販売店には奈緒の夫正也が勤務している。つまり、百合子は正也とは顔見知りだったわけである。
 本来なら、10歳は年下の奈緒の方が、百合子に対して、先輩としてしかも夫の元同僚としても、たてなければならないはずであった。
 しかし、奈緒にとって、彼女はそんな扱いをする女ではなかった。奈緒は、会社にとっても彼女はそれほど価値のある女だとは、思っていなかった。
 できれば、一生百合子には係わりたくなかった。会わなければ、永久に無視できた存在だったかもしれない。
 彼女が本社に転勤になったと聞いた時、いつかはこういう日が来るのではないかと危惧していた。

 奈緒が彼女の存在を知ったのは3年前だった。
 正也が、会社の慰安旅行の写真を数枚持って帰ってきた時のことである。
 見るともなしに見た1枚の2ショット写真が、奈緒はなぜか心に引っかかったのである。それはよくある宴会の席での、男が女の肩を抱いた写真だった。男は旅館の浴衣姿、女は派手なワンピース姿。一目で女が年上だということは分かった。ただ女は肉感的で奈緒が見ても圧倒されるようなインパクトがあった。男は夫の正也、女は、当時は奈緒が知るところではなかったが、後で正也から教えられて知った百合子だった。bSへ

(上記小説は、カテゴリー、短編小説・つぶらなひとみ[目障りな女]で連載中)

posted by hidamari at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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