2008年06月11日

小説・目障りな女

bS
 写真のことは、あえて問いただすことはしなかった。
 たかがそんなことで疑うなんて、みっともないような気がしたのである。
 現に疑ってなどいなかったから。
 ところが、その年の暮れ、意外なことから、正也と百合子がただならぬ関係であったことが分かったのである。
 その夜、正也の職場の忘年会だった。深夜になって、正也から「これからまたみんなでもう一軒行くから遅くなる」という電話がかかってきた。
 こんなことに慣れている奈緒は、酔っている者に何を言っても無駄だと思い、「分かった」とだけ言って電話を切った。
 するとまたすぐ電話が鳴った。
 今度は同僚の若杉の声だった。
 「奥さん、ダメですよ、許しては…、ご主人はお尻の大きいお姉さんとこれからデートなんですよ。ほら腕を組んで、お尻をふりふり行っちゃいましたよ、いいんですか!」
 若杉も完全に酔っていた。
 「あら、若杉さん、酔っているんですね」
 「酔っていますよ、だから僕は帰ります。でも津山さんは好い所へ行っちゃいました」
 「若杉さんたら、変なことばかり言って…、じゃあ失礼します」
 その日、正也は明け方になってようやく帰ってきた。
 意外としゃんとしていたことが、みょうに気になった。
 そしてその後も、いろいろな理由をつけて朝帰りをすることが何回かあったのである。
 奈緒は、2ショット写真と若杉のことばが頭から離れないようになっていた。bTへ

(上記小説は、カテゴリー、短編小説・つぶらなひとみ[目障りな女]で連載中)

posted by hidamari at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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