2008年07月01日

小説・目障りな女

bP1
 「そうですね。確かにもう終ってるんでしょうけど…、私を見ても何食わぬ顔をしているあなたを見ると、私イライラするんですよね」
 「……」
 「分かりました。ご主人には何も言いません。ただ、私が何もかも知っているということだけは覚えといて下さい。それに会社には他にも知った人がいますから…」
 奈緒は自分でも驚くほど、下世話な言い方をした。心のベールを剥がすと、こんなに殺伐とした言い方になるのだ。
百合子が総務課に来てから、奈緒は彼女の存在がずっと目障りだった。何とかギャフンといわせたかった。ただ、面と向かうと言い負かされそうだった。一つは奈緒より一回りは大きい体格に圧倒されるようで恐かったのかもしれない。それで電話という姑息な手段を使った。
百合子は電話の向こうでただ無言で通した。反論もしなかった。
奈緒からみるとうまくいったのかもしれない。
それなのに、決して気分のいいものではなかった。なぜなら、自分自身も卑しめられていくような気がしたのである。
それでもやはり、百合子との対決は避けては通れなかったような気がする。
奈緒は、自分をもおとしめたが、百合子に電話したことを後悔はしなかった。12へ

(上記小説は、カテゴリー、短編小説・つぶらなひとみ[目障りな女]で連載中)

posted by hidamari at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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