2008年07月30日

小説・間口

bS
 サヨの部屋は、真っ暗だったが、何か異様な空気が流れていた。
「母さん」陸は恐々電気のスイッチを押した。
 サヨが布団の上にうつぶせになりうずくまっていた。
 「母さん!母さん!大丈夫!お手洗いなの?」
 大丈夫ではなかった。あきらかにサヨの身に何かが起きていた。
何か言いたそうにしているが「ああーううー」としか、発することが出来ないのだ。
 さっきまで普通だった母が一瞬にして変わり果てた姿になっている。
 陸は暗たんたる思いに打ちのめされた。
 それでも不思議にも救急車を呼び、自分もちゃんと着替えをしていた。
 サヨは、お手洗いに行こうと布団を出た時に、脳卒中を起しそのまま倒れたと思われた。
 即死を免れたものの、再び元のサヨに戻ることはなかった。
 10日間入院して、肺炎を併発したサヨはクリスマスの夜にあっけなくこの世を去った。まだ64歳だった。bTへ

posted by hidamari at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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