2008年08月01日

小説・間口

bT
 葬儀の喪主は弟の祥太郎が務めた。
 49日までの法要は祥太郎も東京から度々帰ってきて、陸と力を合わせて執り行なった。
 陸はその間、これほど祥太郎を頼もしく思ったことはなかった。彼は社会人として、新聞記者としての確固たる地位があり、またれっきとした家庭人でもあった。嫁は別に何もしてはくれなかったが、存在だけで様になった。子供たちが家の中にいるのも慰みになった。
 ただ、祥太郎はもはや昔の弟ではなかった。彼には母より大事な妻子がいる。陸と決して悲しみを共有するものではなかった。
 49日が過ぎると、臆することもなくさっそく遺産相続の話を持ち出した。
 それは、預貯金、生命保険金も合わせると、思った以上のかなりの金額になった。
 サヨが、何しろ、前ぶれもなく急死してしまったため、遺言などあるはずもなかった。
 祥太郎は全ての遺産を、法定通り、半分にしようと言う。もちろん陸にも異存はなかった。bUへ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・間口で連載中)

posted by hidamari at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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