2008年08月04日

小説・間口

bU
 サヨが急死してから100ヵ日が過ぎるまで、陸は季節が変わっていくのを感じないほど、慌ただしい毎日を過ごしてきた。
 相続に関しては、祥太郎と2人で話し合って、全て平等に分けることにした。
 今住んでいる家も土地も、陸1人で住むには大き過ぎ、使い勝手も悪いというので、売却することにした。両親の墓と仏様は祥太郎が引き受けた。
 葬儀から相続に関するまでの必要経費を除いて、全て財産は2等分することになった。
 陸は、今さらながら母がいなくなった重大さを感じる。
父が作った一つの家庭が今まさに崩壊したのである。長い年月を費やして築き上げた財産が、一瞬のうちに煙となって消えていくようで、陸は切なかった。
 「1人ぼっちになってしまったのだ」
 改めて深い孤独感が押し寄せてきた。
 この家を出て行くのはそんなに辛いことではないが、この家が無くなるのは家族の歴史まで無くなるようで悲しかった。母との何気ない日常の思い出が、浮かんでは消えていった。出来れば祥太郎にこの家にそのまま住んでもらいたい。そうすればいつでも仏様になった母や父に会いに来られる。だが、勤め先が東京なら、それも出来ない相談だった。bVへ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・間口で連載中)
posted by hidamari at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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