2008年08月11日

小説・間口

bW
 陸は今手元に大金があった。遺産相続したお金である。
 これから先1人で生きていかなければならないかもしれない。そのためにもこのお金は有意義に使いたかった。今とりあえず賃貸のマンションに住んでいるが、やはり、分譲マンションを購入するのが1番妥当なお金の使い方に思えた。
 陸は、それほど大きな買物をした経験はもちろんない。自分に出来るのだろうかと不安でもある。が、これからは何でも1人で決めて実行していかなければならないのだ。いざとなれば弟の祥太郎が相談にのってくれるだろうが、あまり頼りたくなかった。
 とにかく、自分1人で、早く、何かに向けて行動を起したかった。
 お昼休みを利用して、分譲マンションの折り込みチラシに、真剣に目を通すことから始めようと思った。
 陸が在席する学生課は主に学生の世話をする部署である。
 お昼休みといえども、常に学生が訪ねてくる。窓口には担当者がいて常時応対するのだが、込み入った用事があると、部屋の中に入ってくることもある。
 それが煩わしく、陸は小さな会議室に入り込み、そのチラシを見るようにしていた。
 その日陸は、その中に良さそうな物件があるのを見つけ、ちょっと心が動かされていた。
 その時、本間悟が会議室へ入ってきた。
 「あっ、なんだ、室田さんだったのか。こんな所で何しているの?」
 本間は、誰もいないと思っていた会議室に、陸がいたのでひどく驚いた様子だった。bXへ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・間口で連載中)

posted by hidamari at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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