2008年08月16日

小説・間口

bP0
 陸が新しいマンションに転居したのは、結局、暮も押し詰まった12月末だった。
 せっかくならお正月を新しい家で迎えられるようにと、本間がいろいろ取り計らってくれたおかげだった。
 マンションは、市電が通っている範囲の地域で、セキュリティー・システムが完備されており、信頼おける会社の物件という条件の元で選んだ。もちろん、間取り、日当たりなども考慮した。選ぶのは思っている以上に困難を要した。途中で嫌気がさし、適当なところで妥協しようとしたが、本間が「きっといいのが見つかるから」と、根気強く付き合ってくれたので、ほぼ思い通りの物件が見つかったのである。
 陸は、本間に心から感謝した。彼は恩にきせることもなく、あるいは不動産を物色するのが趣味ではないかと思うほど、物件選びに熱心だった。
 陸はとりあえずお礼に高級ワインをプレゼントした。本間は「こんな心配無用なのに」と言いながらも、快く受け取ってくれた。
 陸はこうして晴れて自分のマンションを持つことが出来たのである。40歳の大台に乗ったお正月だった。bP1へ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・間口で連載中)

posted by hidamari at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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