2008年08月25日

小説・間口

bP3
 40歳になったいい大人の女が、夜中に男性を自宅へ招き入れることがどんなことか、陸にもじゅうぶん分かっていた。
 そうなのだ、その時すでに、本間に迫られたら、受け入れてもいいと思ったのである。
 彼のことを恋焦がれるというのではなかった。ただ嫌いではなかった。むしろ好きになっていた。
 今までに付き合った男性は何人かはいたが、情交を結ぶほどの関係になった経験はない。そういう感じだったから、月日が過ぎると、だんだんマンネリ化していき、付き合いも自然消滅していったのだ。
 そのうちに、自分は身を焦がすような恋愛は出来ないだろうし、そんな相手とは巡り合えないと、諦めてしまったのである。
 今考えれば、好意を持つぐらいのところで肉体関係になれば、結婚まで行き着いたかもしれないのだ。友人たちが年頃になって次々に結婚したのは、意外とそれくらいのところで妥協していたのではなかろうか。最近特にそう思えるのだ。
 本間は妻帯者である。夫婦仲もうまくいっているようだ。たとえ陸を愛してくれていても、妻と離婚してまで結婚してくれるとは、とうてい考えられない。それでも、もし、本間が望むなら、どうなってもかまわないと、陸は密かに決心していた。ただ自分が今でも処女というのがイヤだった。乙女ちっくな心も肉体も、共に生まれ変わりたかった。bP4へ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・間口で連載中)

posted by hidamari at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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