2008年09月03日

小説・間口

bP6
 本間はその日以来、陸を自宅まで送ることをしなくなった。職場でも妙によそよそしくなり、陸には返って不自然に見えたが、職場恋愛はこんなものかと、むしろ新鮮さを感じていた。
 本間は、自分が都合のよい時は、休みの日でもマンションへ訪ねてきた。
 陸は、自分からは絶対、誘うことも電話をかけることもしなかった。
 それは本間が家庭持ちだから遠慮しているわけではない。さして逢いたいと思わないだけのことである。ただ、本間が逢いたいと言えば、さし障りのない限り快く受け入れた。
 それは、逢えば、陸を女性として優しく扱ってくれるのが、何より心地良かったから。
 それに1人暮らしには男手は何かと役に立った。
 家具を動かしたり、高い所の蛍光灯を替えたり、時には料理までしてくれた。
 しかし、本間は月に1〜2回しか現れなかった。
 陸はいつしか、本間を待っている心が自分にあることに気付く。
 それがとてもイヤだった。いつもクールでいたかったのだ。
 本間との関係が1年も経とうとしている時、陸は、教養学部のある男性助教授に、さだまさしコンサートのチケットをもらった。
 それは、陸にとって思いもよらぬ事で、彼女を有頂天にさせるものだったのである。bP7へ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・間口で連載中)

posted by hidamari at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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