2008年09月24日

小説・間口

24
 母親が生きている頃は、毎日何の変てつもない生活をしていても、別段寂しいと思ったことはなかった。
 仕事から帰ってきて、食事をして、お風呂に入り、テレビを見る。だいたいそんな生活だった。その間、母親とたあいのない話をした。土日は2人でよく買物へ行ったり、お芝居を見にいったりした。
 連休やお正月は何をしていたのだろう。
 家でごろごろしていたような気もする。女友達と旅行したこともある。やはり母親と旅行する方が多かったが。
 陸は、今なぜこれほど寂しいのだろうと思う。
 ウイークデーはいい。
 職場では、本間と毎日顔を合わせている。
 1週間に3回くらいは学内で大林を見かける。
 それ以外にも、毎日こなす仕事は、いやなこともあるが達成感が得られるので、日々充実しているのだ。
 昨年の大学職員親睦海外旅行は結局、韓国へ2泊3日の行程で行われた。
 幹事として陸はやむを得ず、初めてその親睦旅行に参加した。それなりに楽しかった。旅先では、大林とは全く私的な行動はしていないが、やはり、彼が一緒だということが楽しめた理由だった。
 ただ、彼と親しくなったきっかけは確かに幹事同士だったことだが、コンサートに誘われたのは、旅行から帰って、お正月休みが明けてからだった。
 そして早くも5ヶ月が過ぎようとしている。
 目の前には、世間では楽しいはずだが、陸には苦痛としか言いようがないゴールデンウイークが待ち受けていた。25へ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・間口で連載中)

posted by hidamari at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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