2008年10月14日

小説・父親の役目

bQ
 秀男が妻の美代子と結婚したのは、秀男25歳、美代子24歳の時だった。
 その頃、秀男には好きな女性が別にいた。ただ、結婚はまだ考えていなかった。30歳過ぎてからでいいと思っていたのだ。
 ところが、ひょんなことから、全く眼中になかった美代子と結婚したのである。
 それは、美代子が意図的に仕組んだことだったのか、偶然だったのかは今さらいっても仕方がないと秀男は思っている。とにかく美代子は積極的だった。
 当時2人は同じ丸山商事に勤務していた。同じ秘書課で美代子は社長秘書をしていた。自分に自信がある美代子は、他の男性は何かとモーションかけてくるのに、秀男だけがそしらぬ態度を取るのが、気になって仕方がなかった。ちょこちょこと秀男を観察するようになる。そのうちに秀男のことばかり考えるようになっていた。秀男には他に好きな女性がいるのだということが分った。許せなかった。何としてもこちらに振り向かせたかった。
 そのために、秘書という立場を利用して、彼が社員の中で優位にたてるように、何くれとなく世話をやいた。
 最初は気がつかなかった秀男も、誰も知らない情報をいち早く、そ知らぬ顔で教えてくれたりすると、さすがに、美代子の特別な気持を察することが出来た。
 それでも好きでもない女に言い寄ることなどなかった。
 しかし、酒という魔物が、秀男を思わぬ方向へと誘っていったのである。bRへ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・父親の役目で連載中)

posted by hidamari at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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