2008年10月27日

小説・父親の役目

bV
 結婚が決ると美代子はさっさと仕事を辞めた。
 秀男の両親は決して諸手を上げて喜んでいたわけではなかったが、結婚式や披露宴に関しては、全面的にバックアップしてくれた。
 何しろ、秀男はまだ結婚資金などなかった。美代子は、式はしなくていいと言ったが、それではあまりにもかわいそうと思ったのか、世間体を考えたのか、秀男の両親は、お腹の目立たないうちにと、6月に結婚式を決めたのであった。
 結婚して4ヵ月で長女小百合が生まれた。
 新婚時代も何もなかった。
 2年後に長男賢が生まれる。
  何が何か分からぬまま秀男は2児の父親になっていた。
その間、身体はともかく、美代子と心を通わせたことがあったのだろうか。日々の生活に追われて、美代子のことは何一つ知らないままに過ごしてきたように思われた。
 ただ、日に日に大きく育っていく子供たちは、予想していた以上に可愛かった。母親の美代子より、愛情を注いで世話をしたので、いつの頃からか、子供たちは秀男の方に懐いていた。
 美代子には深い愛情を持てぬままだったが、家庭生活は普通に続いていたかのように思われた。
 しかし、元来美代子は気の強い女だった。
 秀男が知らない所で、徐々に家庭生活にひびが入り始めていたのである。
 端を発したのは、嫁、姑問題だった。bWへ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・父親の役目で連載中)

posted by hidamari at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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