2008年10月30日

小説・父親の役目

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 秀男には通産省の役人をしている2歳違いの優太郎という弟がいる。母親ヒデには誰より自慢の息子だが、なにせ東京住いの優太郎家族には、そうそうかまうことはままならなかった。
 一方秀男の家族は同じ市内に住んでいる。ヒデの関心がおのずと秀男の家族へ向けられたのは、当然の成り行きだった。
 金融業を営んでいた秀男の父勇作は、その頃既に店をたたみ、十分な預貯金、株の配当で悠悠自適な生活を送っていた。
 今でこそ、ゴルフ、釣り、骨董あさりなど、健全な遊びなのだが、羽振りがよかった若い頃は、女性関係も1つや2つでなく、ヒデはずっと泣かされていた。
 その頃、そのストレスから解放されたくて、つい新興宗教に足を踏み入れてしまう。
 いまいましく思いつつも、さすがにその時は、勇作も、自分の非を認めざるをえなかった。ヒデの気がすむならと、何も言わずに大目に見ることにしたのである。
 ヒデは熱心な信者へと育っていった。相当なお金も貢がなければならなかった。
 不思議なことに、ヒデはお金にいとめはつけなかったし、勇作も咎めることはしなかった。それほどお金があったということだろう。
 そんなヒデが、秀男の留守中に、頻繁に孫に会いにやってきていたのである。bXへ

(上記小説は、カテゴリー{短編小説・つぶらなひとみ}の中の、小説・父親の役目で連載中)

posted by hidamari at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説・つぶらなひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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